アージダルの転落
題名
アージダルの転落
著者
ハルンド・グレイクローク
本文
1節
人が初めてスカイリムの大地を歩いた、今となっては誰も覚えていない時代、サールザルの街に偉大な付呪師が現れた。
少年の頃から、彼が天性の魔法と技巧を持つことは家庭教師たちの目にも明らかだった。
大人になった時には、彼の技能は教師の誰よりも優れていた。
一族の中にいて学ぶべきことはもうないと気づいた彼は、妻と子を残し、達人エルフの下での修行へと旅だった。
2節
1年、2年、3年の時が過ぎた。
そしてようやくサールザルに戻った時、そこには廃墟しかなかった。
エルフが街を荒らし、生きた者は皆殺されたか、去っていた。
灰となり、まだくすぶっている故郷の廃墟に立って、彼は恐ろしい復讐の誓いを立てた。
そしてそこから生まれた伝説が、憤激の破壊者アージダルという呼び名を彼に与えたのである。
3節
一人きりでは何もできなかったため、他の誰よりも技能に打ちこみながら、彼は好機を待った。
ドゥーマーからは、金属が持つ7つの性質と、それらを調和させる方法を学んだ。
アイレイドからは、エルフさえ忘れ始めていた古代のルーンと原初の魔法を学んだ。
ファルメル、チャイマー、アルトマーに混じって旅し、それぞれから学べることを学び、その間もずっと、それらの知識を復讐に活かす方法を考えていた。
4節
ついに、イスグラモルと同胞団がアトモーラから新たにやって来たという噂が彼の耳に届いた。
3昼夜かけて彼は北に向かい、氷で覆われた海岸に到着した彼らに会った。
そこは彼らに立ち向かうエルフが要塞を築いたサールザルの廃墟に近い場所だった。
彼はイスグラモルたちの力となり、それまでに労働で生み出したあらゆるものを差し出した。
アトモーラの鋼鉄に彼の付呪が染み込んだおかげでエルフは目の前で倒れ、ようやく彼は復讐を遂げた。
5節
しかし彼は満足しなかった。
技術そのものが彼の人生となり、知識への渇望が彼を悩ませ続け、さらに深く追求せずにいられなかった。
長い時間をかけてようやく彼はエルフの教えをすべて学んだが、まだ満足ではなかった。
彼はドラゴンルーンの秘密を追求し、それによって大司祭の地位まで得たが、まだ満足ではなかった。
ついにはオブリビオンの世界にまで目を向け、そこで力を得て、正気を失った。
6節
そこで彼が危険を冒し、二度と戻らなかったという者たちもいる。
あるいは、仲間のドラゴン・プリーストに裏切られて殺されたか、愛するサールザルの地中の廃墟にある隠し場所に追いやられたという者もいる。
ソルスセイムのスコールでは、彼がこの島へと逃げて、遺品と共にコルビョルン墓地の地中深くに埋葬されたと言われている。
しかしそれはウィンターホールドの吟遊詩人が語った物語に過ぎない。
真実が何であれ、アージダルの伝説は戒めとして伝えられたものである。
完ぺきを追求するうち、追求そのものに心を奪われてしまわないように、人は気をつけなければならないということだ。
スカイリムのノルドについて
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